「ギュンター・ヴァントのモーツァルト(1)」 追補 *少々長文なので、後続させず別頁としました。拙文上網後、北ドイツ放送響との《ハフナー・セレナード》が2002年初頭にリマスタリング再発売されていることを知り、早速在庫のある店を探して買い直してみました。「ヴァント90歳記念リリース」のひとつで、モーツァルト三大交響曲との2枚組です(BVCC38164〜5)。

リマスタリング盤

初出盤
ヴァントは、同年の2月14日に亡くなりましたので、このシリーズ発売直後ということになりますね。
さて、再購入一番の収穫は、リマスタリングの出来なんぞよりも、ライナー・ノートがリニューアルされたということで、音楽評論家・舩木篤也氏の「『導きの星』――ヴァントのモーツァルト」が附載されていたことです。これは、まことに懇切詳細なノートであり、勉強になりました。タイトルにある“導きの星”とは、ヴァント自身がモーツァルトを指すに使った呼称です。なかなかカッコヨイことをいいますなあ(独語ではどういうのだろう…)。
舩木氏は、冒頭次のように述べ、亭主と同じような感慨から書き起こされておりました。
「指揮者90歳の誕生日を目前に、先ごろギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団によるモーツァルト《ポストホルン・セレナード》の新録音がリリースされた。その溌剌とした音楽を聴きながら、彼らの《ハフナー・セレナード》が初めて世に出たときのことを思い出す。没後200年とかで、この作曲家にまつわる商品が似非ザルツブルク風のパッケージにくるまれて市場に雪崩れ込んでいた頃のことである。このお祭りから締め出されたような形で、それは輸入レコード店の片隅にそっと置かれていた。当時はまた「古楽器によるモーツァルト」が全盛を極めようかという時代。モダン楽器によるこの演奏は、――知名度が高いとは言えなかった指揮者の名と相俟って――話題になりにくかったのかもしれない。…」
拙文にて述べたごとく、まったくその通りの体験を、大学生であった亭主自身がしていたのですね。
続いて舩木氏は、ヴァントとモーツァルトとの親密な関係を、やはりそのオペラとのかかわりから書いておられます(主な情報源は、Wolfgang Seifert,“Günter Wand:So und nicht anders. Gedanken und Erinnerungen”とのこと)。
38年(26歳!)、デトモルト歌劇場での《魔笛》成功のこと、戦後の幕開けをケルン歌劇場での《魔笛》で飾ったこと、35年間におよぶそこでの最後の仕事が《コシ・ファン・トゥッテ》であったこと、68年、自身最高の出来と回想したフランクフルト歌劇場での《ドン・ジョヴァンニ》のこと…。
しかし、氏もヴァントのモーツァルト・オペラ録音の存在についてはまったく触れていないので、やはり残されていたとしても未だ市場には出ていないのでしょうかね。亭主もこの件に関して調査したわけではないので、正確なところはわかりませんが(博雅の示教を俟つ!)。
最後に氏は、北ドイツ放送響との交響曲第40番の演奏について、こまかに分析されております。このような舩木氏ですから、陸続発売されるPROFIL盤のヴァント演奏にも多大な関心を寄せておられることでしょうね(多分、どこぞでコメントされていると思いますが)。
なお、舩木氏が主に参考としたヴォルフガング・ザイフェルト著の上掲書は、『ギュンター・ヴァント―音楽への孤高の奉仕と不断の闘い―』(音楽之友社、2002)として邦訳書が刊行されております。すみません、亭主はまだ読んでいません。遅ればせながら「このところ気なり始めた」指揮者なもので…。詳細なディスコグラフィー附きらしいので、オペラ録音に関する知見が得られるやもしれません。ただいま取り寄せ中! 以上、取り急ぎ追補いたします。

ヴォルフガング・ザイフェルト著
『ギュンター・ヴァント―音楽への孤高の奉仕と不断の闘い―』
(音楽之友社・2002)
テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2008/05/06(火) 16:47:00|
- 指揮者
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