マッケラスがまたまたシンフォニーを録音。今日はその新盤について少し…。
サー・チャールズ・マッケラス(1925-)も80歳を越したんですね。こういうスタイルで演奏をする指揮者は、年齢がわからなくなります。往々、指揮者は高齢になるにつれてテンポがゆったりする、といった巨匠風になるものなんですが。
同世代の“サー”にはネヴィル・マリナー(1924-)がいて、なんとマッケラスのひとつ先輩なんですねえ。二人とも日本でいったら“大正生まれ”だよ(関東大震災の頃!)。どちらも一般にはサラサラ、シャカシャカ〜といったイメージが強かったからあまり意識しなかったけれども、もう年齢的には大御所も大御所ですよね(マッケラスはブーレーズと同い年)。
そのマッケラスが、またもっ、なのです。彼にとっては、4度目となるのではないかな。以下、簡単に記すと… *わかりやすく「旧全集番号」で略記します。

ロンドンPO盤

イギリスCO盤
1.ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団 レーベル:EMI *原盤はClassics for Pleasure
第36・38番(1973) [7243-5-75799-2-6]
第40・41番(1975) [7243-5-75800-2-1]
2.イギリス室内管弦楽団 レーベル:ASV
第39・35・32番(1981) [ASV7] *クラウンから国内発売された。
3.プラハ室内管弦楽団 レーベル:TELARC
交響曲全集:全45曲(1986-1990) [PHCT201]
*単売、セットいずれもあり。左記はCD80300の国内盤セット10枚組。単売では11枚。
4.スコットランド室内管弦楽団 レーベル:Linn
第38・39・40・41番(2007) [CKD308] *SACD-Hybrid・2枚組
プラハCO盤

スコットランドCO盤
4が今回の新盤です。後期交響曲集ということになりまして、いずれの曲もマッケラスにとっては3度目の録音ですね。Linnレーベルには既に《レクイエム》を録音しています(2002年録音、CKD211)。近年録音が増えているレヴィン版による意欲的な試みだったのですが、演奏はいまひとつでした。
一聴したところ、20年前、プラハ室内管との演奏3と基本的なアプローチは同じですが、響きや間合いの取り方はけっこう異なります。形式的な相違としては、チェンバロのコンティヌオを新盤では廃したこと、第40番を旧盤のクラリネット無し版からクラリネット有り版に変更したことなどが挙げられます。
今回、プラハ室内管との40番を聴き直しましたが、求心力のある演奏で、いまでも新鮮さを失っていませんでした。今のところ、新盤を録音した意義は、強くは見出せませんねえ。
ところで、マッケラス最初の録音1ですが、これは珍妙な演奏です。なんと驚いたことに、この時点で既に第36番《リンツ》・第38番《プラハ》にはチェンバロのコンティヌオを入れています(けっこう目立つ!)。70年代初頭ですから、かなり早い例ですよね。しかし、モダンの大編成による演奏であって、かつマッケラスの解釈もまだまだ中途半端。無理矢理チェンバロだけ入れても必然性がまったく感じられません。まあ、彼はこの頃から古楽的アプローチをモーツァルトに適用しようとしていた、という事実は知れて興味深いことは確かです。
亭主一番のお薦めは2の盤です。いずれも胸のすく爽快な演奏(チェンバロなし)。39番、例の序奏部のテンポも発売時には驚かれたでしょう。アーノンクールの39番はまだ録音されず(1984年です、TELDEC)、ホグウッド−シュレーダーのシンフォニー全集(L’OISEAU-LYRE)も録音が開始されたばかりの頃ですからね。
イギリス室内管は、ちょっとおおらかなところがあり、指揮者によっては生温くなるのだけれど、この盤ではそのことがかえってマッケラスの鋭い指示をほどよく受け止めることに貢献していて、とても成功しています。時にプラハ室内管盤や新盤を聴くと湧いてくる、ギスギスした感じを聴く者に与えないんだなあ。
第35番《ハフナー》も見事で、ECOの木管群がすばらしく、特に第1楽章に2回現れるクラリネットの上昇音型は、あまり目立たない演奏が多いなかにあって心地よく響きます。
ほんとうはこのコンビで全集を録音してくれていたら、と思いますね。プラハ室内管盤も質の高いものですが、今の亭主には少しきつい演奏になっています。
参考までに、解釈による差が最も出やすいと思われる40番第1楽章の演奏時間を示しますと…
ロンドン・フィル 7:49
プラハ室内管 6:57
スコットランド室内管 7:07となります。
ちなみにマッケラス−スコットランド室内管のコンビは、ブレンデルとのピアノ協奏曲(PHILIPS)のほかオペラも陸続録音しています。マッケラスのスタイルは、ブッファではマイナスなんですが、オペラ・セリアとなると俄然生きてきます。《魔笛》もなかなか。
《クレタの王イドメネオ》(2001年録音) [EMI:7-24355-72602-5]
《皇帝ティトゥスの慈悲》(2005年録音) [DG:00289-477-5792]
《 魔 笛 》 (1991年録音) [TELARC:CD80302] *《魔笛》はBRILLIANT CLASSICSの廉価盤MOZART EDITIONにも入っている。何故かレーベルばらばら! 亭主イチオシのオペラ《イドメネオ》は、最近ではこのマッケラス盤を一番愛聴しています。
最後に、学究肌のマッケラスの一面が垣間見られる音盤を紹介しましょう。マッケラス監修によるアルバムで、古楽器オーケストラハノーヴァー・バンドを振り、自身による長文の解説が附されています。
*モーツァルティアン向き 
[Opera Rara:ORR232](2004年録音)
Mozart〜The Supreme Decorator (モーツァルト〜最高の装飾家) チャールズ・マッケラス指揮 ザ・ハノーヴァー・バンド
ダイアナ・モンタギュー、マジェラ・カラフ、エリザベス・フトラル(Sop)
・J.C.バッハ:シリアのアドリアーノからアリア【モーツァルト改作版】
・モーツァルト:コンサート・アリア【J.C.バッハ同名曲冒頭旋律を転用改作】
・モーツァルト:歌劇《ルーチョ・シッラ》のアリア【モーツァルト改作版】 他
テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2008/03/29(土) 15:00:20|
- 交響曲
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