モーツァルトのクラヴィーア協奏曲(ピアノ協奏曲)はいずれも傑作揃い、とは言わずもがな。ことさら20番台以降は、との世評は無論だけれども、5番(K.175)や6番(K.238)だって聴くたびに「佳き曲なり〜」と感じ入ります。
それでも亭主、最近とみに聴く機会が多いのは20番台であって、25番(K.503)→22番(K.482)→24番(K.491)の順位になりましょうか。25番については近いうちに書きたいですが、今日は変ホ長調の22番。
同じようにクラリネットを使用していても、モーツァルトは次の23番(K.488)と鮮やかに使い分けており、いつもながらにお見事ですね。
さて、22番を最も愛するピアニストは誰かといえば、それはおそらくパウル・パドゥラ=スコダ(1927-)ではないかな(と勝手に信じている)。スコダは、20番台にあってはさほど人気があるとはいえないこの曲を何度も録音に残しているのです。管見の限りでは以下のよう…

1952年盤

1970年盤
1.ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
[1952.1.27、ライヴ] CD[DYNAMIC:IDIS6388]等多数
2.ジョナサン・スターンバーグ指揮 ウィーン交響楽団
[未詳、1950年代ライヴ?] LP[CEANIC]
*上記1と誤ってCD化されたことあり
3.パウル・パドゥラ=スコダ指揮 ウィーン室内管弦楽団
[未詳、1950年代] LP[WM]
4.パウル・パドゥラ=スコダ指揮 プラハ室内管弦楽団
[1970] CD[SUPRAPHON:COCO70840(国内盤)]
5.パウル・パドゥラ=スコダ指揮 プラハ室内管弦楽団
[1992] CD[VALOIS:V4669]
1992年盤
1はモーツァルトの誕生日ライヴ。20代半ばのスコダは、既に後年のスタイルを確立していることが、貧しい音質の中から伝わってきます(ピアノは比較的良く録れている)。驚いたことに、自作のカデンツァは以後使用し続けるものとほとんど同じ。スコダは、これに先立つ数年前にかのエトヴィン・フィッシャーのマスター・クラスに学んでおり、大いに影響を受けたそうですが、1935年録音のフィッシャーの22番(EMI、伴奏はジョン・バルビローリ指揮、同室内管)を聴くと、カデンツァも含めてそれがわかりますね。
フルトヴェングラーの指揮は、大仰なところもありますが、締めるところは締める演奏。ウィーン・フィルも往年の名手が在籍していた頃だけに立派です(例えば、クラリネットはウラッハが吹いているんだろうなあ)。
4は元気で若々しい快演。プラハ室内管の木管も美しく、スプラフォンの録音もこぢんまりとはしているが優秀。国内廉価盤で発売中なので、今最も入手しやすいでしょう(第21・24番、コンサート・ロンドと2枚組)。
5は4と同じ組み合わせながら、より洗練された名演で、5種のうちでは筆頭。スコダの22番演奏の集大成といえるでしょう(カップリングは27番)。この頃プラハ室内管は、マッケラスとのシンフォニー全集を完成させたばかりであって(TELARC)、両者ともにモーツァルトをよくわかっているなあ、と感じ入った次第。この曲は、個人的にですが、左手パートをどう弾くかがバランス上決め手だと思っています。ここでのスコダは絶妙ですね。ちなみに自作カデンツァは出版もされているので愛好者が多いらしく、最近も久々に聴き直したジャン=クロード・ペヌティエが1967年の録音でスコダ作を使用していました(ACCORD、伴奏はカール・リステンパルト指揮、ザール室内管)。
この共演で是非とも全集化にこぎ着けてほしかったのですが、3枚のCDが制作されたのみで終了(第20・21番、V4664、第23・25番、V4713)。ところが最近になって別の仏TRANSARTから三度目の共演がスタート、陸続と発売中です(現在まで4枚)。上記VALOISで録音されなかった20番台である第26・24番(TR126)を皮切りに始まったので、残りを埋めていくのかな…と思いきや、第17・19番(TRM132)に続いては、第14・16・27番(TRM140)、第12・21番(TRM154)と既に2曲重複しているので、もしかしたらすべて録音し直すのかもしれませんね。すると22番も6種目が誕生するのか…。

TRANSART盤(TRM154)
ただ、残念ながらこの新シリーズ、今のところ亭主の心をあまり動かしません。大いに期待していた24番も、それが大きすぎたのか拍子抜けでした。22番については上記5の優位は崩れないのではないかと思っています。スコダも既に80歳! さて、どうなるか。以下、新シリーズのデータを掲げますと…
TR126 第24・26番 2001年6月録音 プラハ、ドモヴィナ・スタジオ
TRM132 第17・19番 2003年6月録音 同上
TRM140 第16・14・27番 2004年4月録音 同上
TRM154 第21・12番 2006年9月録音 同上
といった具合。2005年の空白が気になるなあ〜、と思っていたら、なんと9月にモーツァルトの協奏曲を別レーベルに録音していました…同じプラハのスタジオで! それも今度はフォルテ・ピアノ(ワルター製レプリカ)で古楽器オーケストラのムジカ・フロレアと(ARCANA:A351)……まあ、一連のピアノ・ソナタを自身所有のフォルテ・ピアノ(シュタイン製オリジナル)で仏ASTRÉEに録音していたスコダなのだから、その流れからいうと、そちらの方が自然なのかな。ARCANAは、アストレの名プロデューサーであったミシェル・ベルンシュタイン創設のレーベルだものね。

ARCANA盤

ASTRÉE盤
A351 第9・12番 2005年9月録音 プラハ、ドモヴィナ・スタジオ
今のところ上記1枚だけですが、今後はTRANSARTと平行して録音していくのかなあ。いずれも、もっとじっくりと聴き込んでみようと思います。
ところで、スコダの音色は、同僚(?)のイエルク・デムス(1928年生)同様、単に美しいというのではありませんよね。同世代のワルター・クリーン(1928年生)と比べると特に思いますけど、そういう意味での綺麗さやテクニックとは別のところで音楽を考えているのでしょう。クリーンやグルダ(1930年生)がいなくなった現在、ますます(?)お元気そうな両人にはまだまだモーツァルトに取り組んでほしいと思います。最近購入したデムスのピアノ作品集(SAPHAIR:LVC001063)と旧録音も含む協奏曲集(同:LVC001062)とは佳かったですよ。
そういえば、もう15年程前に大阪フェスティバル・ホール公演を後輩と聴きに行ったことを想い出しました(その頃は京都市在住)。プラハ室内管弦楽団との来日で、第20番を弾き振り。《プラハ》シンフォニーも指揮するのでは、と期待していたのですが、さすがにそれはなく、出番が終わるとさっさと帰ってしまいました…。
テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2008/03/28(金) 10:15:58|
- 協奏曲
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