銀蛇亭贅語 Die Schwätze über 'Zur silbernen Schlange'
いらっしゃいませ。《銀蛇亭》の主、
KonLonです。
*右の囲みも請クリック
黄昏のホーエンザルツブルク城
[2006.9、亭主撮影] *請拡大《銀蛇亭贅語:ぎんじゃていぜいご》 は、
W.A.モーツァルト(漢語:莫扎特)に特化した音盤視聴記です。「文質彬彬」たる名盤を推薦しつつ、ゆるりと更新してゆきますので、ご愛顧ください。
*「文質彬彬」についてはプロフィール欄参照
モーツァルト・メダル[亭主蔵]ちなみに
《銀蛇亭:Zur silbernen Schlange》 とは、モーツァルトが晩年に通ったウィーンの居酒屋の通称です。本当は、《金蛇亭》だったそうです……左欄「詳しい亭主紹介」もご覧ください。
亭主KonLonのモーツァルトへの思いは、かつて書いた以下の文章「モーツァルト生誕250年によせて」の引用でお許しください。某図書館広報誌[2006.4.1]より…
モーツァルト生誕250年によせて コメントについて皆さまからのコメントについては、洵にご面倒ですが、ご意見・要望・質問に同じく左下のメールフォームからお寄せくださいませ。その際、どの記事に対するコメントかご記入くださると助かります。
随時、ブログ上、または直接回答申し上げます。 亭主テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2010/03/27(土) 08:39:53|
- はじめての方
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《銀蛇亭贅語》 〜 過去の主な記事 *「開啓」をクリックすると該当記事が読めます。パウル・パドゥラ=スコダのピアノ協奏曲第22番
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開啓ジョージ・セルの初出モーツァルト・ライヴ(1957)
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開啓タンゲンテンフリューゲルのモーツァルト:追補
開啓モーツァルト:この10曲とその推薦盤
開啓 *5記事連続。下の記事からお読みください。亭主推薦盤 《文質彬彬》 シリーズ文質彬彬(1):ミサ・ソレムニス ハ長調 K.337
開啓 附:
ペーター・ノイマンに託すモーツァルト宗教曲の復権 開啓文質彬彬(2):ディヴェルティメント(弦楽三重奏曲) 変ホ長調 K.563
開啓文質彬彬(3):フルート四重奏曲(全4曲) K.285他
開啓文質彬彬(4):歌劇《ドン・ジョヴァンニ》 K.527
開啓文質彬彬(5):《ロンドン・スケッチブック》 K.15a〜15ss
開啓文質彬彬(6):セレナード第10番《グラン・パルティータ》 変ロ長調 K.361
開啓文質彬彬(7):ピアノ協奏曲第11番 ヘ長調 K.413(387a)
開啓文質彬彬(7)追補:ピアノ協奏曲第11番 K.413 《室内楽(ピアノ五重奏曲)版》
開啓特集 《ギュンター・ヴァントのモーツァルト》ギュンター・ヴァントのモーツァルト(その1)
開啓ギュンター・ヴァントのモーツァルト(その1)追補
開啓ギュンター・ヴァントのモーツァルト(その2)
開啓ギュンター・ヴァントのモーツァルト(その3)
開啓テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2008/12/20(土) 19:23:32|
- その他
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ようやく…(2)“やませ”のため、冷たい霧雨にみまわれ続けています。宿替えは一段落つきましたが、音盤棚の整理までは進まず、告知したミサ・ロンガの更新もままなりません(今月中には…)。
そんな折、新しくしたオーディオ周りがようやく調いつつあり、整理そっちのけで聴き散らかしております。
以前の古いDENON、YAMAHA主体の機器をほぼ一掃し、SACDプレーヤーとアンプとをAirbow−Marantzに、スピーカーを英QUAD社製にしました。これは、亭主の好みを熟知している京都の親友からの助言に従ったものです。
プレーヤーとアンプは、現在、エージング、つまり慣らし運転の最中でして、当該器の場合、性能をフルに発揮した音質になるまで300時間程度必要なようです。昨今の風潮にあらがうこととあいなりますが、2週間ほどは電源も切らず、音盤を鳴らし続けることになります。
CDは、なるほどいまだ深みのない音ですが、SACDでは既に高性能の片鱗をみせつつあるように感じられ、楽しめる試運転となっています。プレーヤーは、カヤ無垢の古い太刀盛り碁盤から足を取り去ったものを台として使用しており、これが案外寄与しているやもしれません。
QUADのスピーカーは、亭主の聴くモーツァルトと相性がとても好いようで、今後、機器の熟成とともに嘉音を響かせてくれることでしょう。
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- 2008/08/23(土) 13:58:31|
- その他
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よ う や く …転居完了いたしました。ながらく更新ご無沙汰しておりますが、いましばらくご寛恕下されたし。
宿替えは終わったものの、減らしたはずの荷物の整理は未だおぼつかなく、本日ようやくオーディオの配線接続ができあがったという有様。
近々、《文質彬彬》で取り上げる予定の、《ミサ・ロンガ》K.262を未整理の音盤山から引っ張り出し、これから聴いてゆくところです。
これを機に、オーディオ周りも一新する予定です。早く落ち着いて、再びゆるりとモーツァルトを堪能いたしたく思います。
テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2008/08/10(日) 21:36:50|
- その他
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ガリー・ベルティーニの《ハ短調ミサ曲》モーツァルトの二大トルソーである、《レクイエム》と《ハ短調ミサ曲》。いずれも未完であることが悔やまれ、現在まで多様な補訂版・補完版が濫立しております。それらについては、今ここで紙幅を割くわけにはゆきませんが、もしどちらかが完成されていたとしたら…、と選択を迫られれば、迷うことなく《ハ短調ミサ曲》を選びますね。それほど好きな曲ですし、当然《レクイエム》以上の傑作、モーツァルト全作品中にあっても、(未完でありながら)上位にのぼる楽曲だろうと思います。
そんな曲ですから、なかなか満足のゆく演奏に出会うことはありません。架蔵の音盤約30種でもほんの数枚でしょう。そこに先日発売のライヴ演奏盤が届いたのです。
■Phoenix Edition:PE116 (2枚組)
CD1:大ミサ曲 ハ短調 K.427[エーダー版]
アーリーン・オジェー(S)
ドリス・ゾッフェル(Ms)
トマス・モーザー(T)
スティーヴン・ロバーツ(B)
録音:1986年5月31日(ライヴ)
CD2:レクイエム K.626
クリスティーナ・ラキ(S)
ドリス・ゾッフェル(Ms)
ロベルト・スヴェンセン(T)
トーマス・クヴァストホフ(B)
録音:1991年5月18日(ライヴ)
ガリー・ベルティーニ指揮、ケルン放送交響楽団、同合唱団といっても、《ハ短調ミサ曲》の録音は20年以上も前、実はCDでの発売も二度目なのではあります(2年前に独CAPRICCIOからSACDで発売済。入手可)。
亭主としては「マーラー指揮者のベルティーニかあ…う〜ん…」と、特段触手も動かず、購入しなかったところへ、《レクイエム》とカップリングされ別レーベルから廉価となって再発売されたのです。先にベルティーニ指揮の下掲のコンチェルト選集をツァハリス目当てで買ったところ、その指揮振りに納得しないまでも「ほほお〜」と思っていたので、これを機に注文したという次第。
■CAPRICCIO:71069
ヴァイオリン協奏曲第5番 K.219《トルコ風》
ピアノ協奏曲第25番 K.503
フランク・ペーター・ツィンマーマン(Vn)
クリスティアン・ツァハリアス(p)
ガリー・ベルティーニ指揮、ケルン放送交響楽団ガリー・ベルティーニ(1927−2005)は旧ソ連のモルドヴァ共和国生まれ。日本ではマーラーの解釈者として名高く、東京都交響楽団の音楽監督(98−05)も務め、一連のマーラー演奏・録音を遺していました。
ベルティーニは幼少の頃にパレスチナに移住しテルアヴィヴで音楽教育を開始したのち入欧。イタリアを経てパリでメシアンやオネゲルに作曲・指揮等を学んだそうです。
1958年帰国し、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団で指揮者デビュー。その後はスコティッシュ・ナショナル管弦楽団首席客演指揮者(71−81)、エルサレム交響楽団音楽監督(78−86)等を経て、ケルン放送交響楽団首席指揮者(83−91)として同楽団と多くの名演を繰り広げました。特にマーラー交響曲全曲録音は有名ですね(EMI)。
さて今回のモーツァルト。久々に強い感銘を受けた盤となりました。彼の実演に接しようともしなかったおのが不明を愧じいるばかりであります。日本では、ケルン放送響と都響とでマーラーを中心とするコンサートがサントリー・ホールやみなとみらいホールで頻繁に催されていたにもかかわらず、ついに聴かずじまいとなりました。就中《ハ短調ミサ曲》を聴くにつけ、声楽付きのマーラーはすばらしかったであろうと想像します。2005年、テルアヴィヴにて逝去、享年77。
当盤の聴き所は数々あります。過不足のないテンポ、精妙なバランス、金管群の深い響き、意味のある低音部、独唱と合唱の充実……。なお、重要な役割を果たすソプラノ独唱に、今は亡きアーリーン・オジェーがあたっており、ホグウッド盤(L’OISEAU-LYRE、88)での歌唱以上のでき。難曲「エト・インカルナートゥス」も見事にこなしております。
しかし、なにより一番は完成度のきわめて高いライヴであることでしょう。しかも音盤上では時としてシラけることにもなり得る空回りした熱気の発散が微塵もなく、かわって立ち現れるは透徹としたブロンズのトルソー。その凝縮された筋肉の躍動感に、かえってこちらがじわじわ熱くなるといったふうなのです。
《ハ短調ミサ曲》の名盤がここに加わりました。そうして今、続く《レクイエム》に針をおろそうとしているのです……
テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2008/08/01(金) 15:05:07|
- 指揮者
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ヨゼフ・ロイブルのバス・アリア集早くも梅雨が明け、酷暑の日々が続いていましたが、今日この辺りは小休止。意外に涼しい連休最後です。亭主、引越の準備に追われておりますが、これを機に宿年の“紙類”の大量廃棄に踏み切っています。
音楽関係の旧稿なぞは、しかし、読み返したり、文中の音盤を聴き返したりで作業停滞……まったくもってはかどりませぬ。
今もこんな昔の短文を見つけ、さっそく当該音盤を引っ張り出して流しはじめたところです。
■KOCH SCHWANN:CD314060 (1990)
バスのためのコンサート・アリア集
(K.513、432、118、541、433、584、539、612、512、621a)
ヨゼフ・ロイブル(Bas)
ファビオ・ルイジ指揮
ミュンヘン室内管弦楽団あまり期待せずに買ったディスクが、思わぬ愛聴盤になりかわる……これもその例。私のような大学生の音楽鑑賞は、もっぱら真夜中。下宿生活ではソプラノの華麗なアリアより、バスで静かにお酒を飲むことのほうが多い。友人ジャカンのために作曲したK.513や、《ジュピター》の旋律が出てくる、ほのぼのとしたK.541、神品ともいえるK.621a、などロイブルが淡々とした口調で聴かせてくれる。まさに、一日で最高のひとときがここにある。…
『年刊モーツァルティアン1992』 (モーツァルティアン・フェライン編集部発行、1992.4)
p.171 「私の推薦盤」よりまわりが《フィガロ》やらピアノ協奏曲やらト短調シンフォニーを取り上げるなか、こんな盤を薦めているとは、我ながら渋い大学生だったのかと思いますが、これを推すに単にひねくれていたのかもしれません。
当時強かったマイナー志向の悪虫がうずいて、ここはみんなが紹介しない、ひと捻り加えたものを…との気負った思いがあったのでしょう。しかし、愛聴していたことは事実であって、実際毎晩のように聴いていた時期があったのです。本日久々に聴き直し、すでに15年以上隔つるも感動を新たにしました。今宵晩酌のお伴に決まり。
ロイブルは、歌曲などを得意とするバス・バリトン歌手で、現在はミュンヘン音楽大学教授。華やかなスター的活動をしているわけではないので、一般にはあまり知られていませんが、名教師として名高いようです。モーツァルトのリートも聴いたみたいと思いました。

ロイブルとルイジ(ジャケット裏表紙より)
指揮者ルイジの方は、先年来日して名演を披露しただけに、すっかり有名になりましたね。生まれはイタリアですが、指揮はグラーツで学び、1987年以降ベルリン、ウィーン、ミュンヘンの各歌劇場で指揮しています。以後、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団首席指揮者(1995−2000)、スイス・ロマンド管弦楽団首席指揮者(1997−2002)、ライプツィヒ放送交響楽団首席指揮者(1999−2007)、ウィーン交響楽団首席指揮者(2005−)を歴任、昨年夏からは、ザクセン州立歌劇場(ゼンパー・オーパー)、およびシュターツカペレ・ドレスデン監督・指揮者に就任しています。
上掲録音は90年ですから、華々しい活躍をし始める直前、歌劇場での修業時代ということになります。さすがに過不足ないサポートでまったく見事。日頃オペラを指揮し慣れていないと、こういう伴奏はつけられないものです。
そうそう、ルイジのモーツァルトといえば、最近R.シュトラウス版《イドメネオ》の2006年ザルツブルク音楽祭ライヴ(会場はフェルゼンライトシューレ)が出ました。
■ORFEO:ORFEOR701072 (2006年8月25日、ライヴ)
歌劇《イドメネオ》〈R.シュトラウス編曲版〉
ファビオ・ルイジ指揮
シュターツカペレ・ドレスデン
ドレスデン国立歌劇場合唱団シュトラウス改作(歌唱はドイツ語)の是非はともかくも、演奏はよいですね。他のモーツァルト・オペラにも期待がかかります。
ところで、オーストリアのKOCHレーベルは消滅したようです。膨大かつ良質なカタログは切り売りされたのでしょうが、紹介盤は現在入手不可のよう。すみやかな復活を望みたいものです。
さて、手を休めての更新はここらで引き上げ、再び“紙の山”に突入いたします…
テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2008/07/21(月) 13:36:38|
- 声楽曲
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文質彬彬(8) ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216
《ピリオド楽器演奏10種》亭主、近日に転居をくわだてておりまして、更新遅滞しております。さて、久々の《文質彬彬》です。
マリア・テレージアの息子、マクシミリアン・フランツ大公は、1775年春にザルツブルクを訪れました。大司教は、その歓迎のためのオペラをモーツァルトに依頼することとなります。それが《牧人の王》K.203として知られる2幕の簡易な音楽劇です(いまだ決定盤なし)。
その第1幕で歌われる羊飼いアミンタの田園賛歌アリア「穏やかな天気と晴れた日々は…」の主題を用いて同年に作曲された曲が、ヴァイオリン協奏曲 ト長調K.216、旧全集第3番なのです。
後世はびこることとなる技芸重視の大仰なコンチェルト群とは、明らかに一線を劃する曲ですが、2管という簡素な編成の割には随処に工夫のみられる佳曲といえましょう。しばしば牧歌的といわれる楽想を基調とし、管楽器ともども充実した第1楽章、パストラーレを濃厚に醸すアダージョ楽章(森泰彦氏は木蔭としての“オンブラ”とみなす)、“シュトラスブルガー”なる民謡旋律まで引用するフランス趣味ポ・プリ風の終楽章と、おのおのに楽しみの詰まった協奏曲です。曲の最後も“バンッ”とやらずに、ふわりとかわすところなぞも粋なものですね。
こうした諸要素は、近代型コンサートにあっては効果を発揮しないばかりか、むしろマイナスなのでしょうが(特に曲の終わり方)、それでもけっこう演奏会で取り上げられるのですから、相応の魅力は伝わっているのでしょうか。モーツァルトの、たとえばピアノ・ソナタ群に同じく“弾けてなんぼ”の楽曲ではないので、ヴァイオリニストの試金石ともいえますし、弾くほどに味わいが深まるようで、歴代の大御所も、その良し悪しはともかくもみな演奏・録音しております。
今回は、リクエストに応え、最近この分野でもようやくよい演奏が出始めてきたピリオド楽器による演奏からの推薦盤紹介とまいりましょう。以下、架蔵の音盤から10種を選んでみました。
■サイモン・スタンデイジ盤 [L’OISEAU-LYRE:433 045-2](1990)
クリストファー・ホグウッド指揮、アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック *2枚組全集。第1〜5番、ロンドK.296・373、アダージョK.261収録。
■ステファニー・チェイス盤 [CALA:CACD1014](1992)
ロイ・グッドマン指揮、ハノーヴァー・バンド *第5番、協奏交響曲K.364収録。
■モニカ・ハジェット盤 [VIRGIN CLASSICS:VC5 45060 2](1993)★
モニカ・ハジェット指揮、エイジ・オブ・エンライトゥンメント・オーケストラ *第4番、アダージョK.261、ロンドK.269収録。のち2枚組全集化。
■シギスヴァルト・クイケン盤 [DENON:COCO78837](1995)
シギスヴァルト・クイケン指揮、ラ・プティット・バンド *寺神戸亮と弾き分けて全集化。詳細は、「寺神戸亮とモーツァルト(2)」参照。
■ジュリアーノ・カルミニョーラ盤 [BRILLIANT CLASSICS:92884](1997)
カルロ・デ・マルティーニ指揮、イル・クァルテットーネ *2枚組全集。第1〜5番、ロンドK.296・373、アダージョK.261収録。
■ミドリ・ザイラー盤 [ZIGZAG TERRITOIRES:ZZT051001](2004)
ジョス・ファン・インマゼール指揮、アニマ・エテルナ *第2番、交響曲第29番収録。
■ファビオ・ビオンディ盤 [VIRGIN CLASSICS:0946 3 44706 2 9](2005)▲
ファビオ・ビオンディ指揮、エウロパ・ガランテ *第1・2番収録。通奏低音はフォルテ・ピアノとギター。
■アンドリュー・マンゼ盤 [HMF:HMU907385](2005)★♪
アンドリュー・マンゼ指揮、イングリッシュ・コンサート *第3・5番収録。
■ヨハネス・レールタウアー盤 [CHALLENGE CLASSICS:CC72155](2005)★
ヨハネス・レールタウアー指揮、ラ・ボレア・アムステルダム *2枚組全集。第1〜5番、ロンドK.296・373、アダージョK.261収録。
■ジュリアーノ・カルミニョーラ盤 [ARCHIV:477 7371](2007)
クラウディオ・アバド指揮、オーケストラ・モーツァルト *2枚組全集。第1〜5番、協奏交響曲K.364収録。
スタンデイジは1941年生まれですから、70歳になんなんとするのですね。ケンブリッジ大学で音楽を修めた後、オランダ室内管(シモン・ゴールトベルク指揮!)やイギリス室内管に在籍し、72年に至ってトレヴァー・ピノック創設のイングリッシュ・コンサートにコンサート・マスターとして加わり、翌年にはクリストファー・ホグウッドのアカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックにも参加しております。オランダやベルギー系の古楽奏者に相違し、いかにもイギリスの演奏家といった風で、その、いわば“安直さ”に手厳しい批評も多いのですが、今回かなり久々にそのコンチェルトを聴きかえして、おっとりした演奏にあんがい好感がもてました。
同じイギリス出身でも、ハジェット(ハゲットとも)は、ずっと深みのある演奏をします。これは、トン・コープマンに請われて、アムステルダム・バロック・オーケストラに首席としてその結成時に加わったことと無縁ではないでしょう。よく軽薄な演奏とされることの多いコープマンですが、亭主はまったくそのように思いません。まあ、それはともかく、ハジェットは、オケではハノーヴァー・バンド、アンサンブルではロンドン・フォルテピアノ・トリオ(ピアノはリンダ・ニコルソン!)やトリオ・ソネリー(「フルート四重奏曲全集」は特選盤)を結成し、ソロ活動ともども精力的な活動を展開してきました。今回そんなハジェット盤に“針”が及ぶと、ああ、前2者よりもずっと緻密な演奏だな(前奏からしてずっと佳い)、と強く感じますね。近年陸続登場してきた当分野のピリオド楽器演奏にあっても、いまだ色褪せていない名演といえましょう。
カルミニョーラは、なんと2回も全集を録音しています(97年と07年)。あのアバトがピリオド楽器オケを振って伴奏を務めた新盤が話題のようですが、伊PARAGON原盤の廉価盤である旧盤の方がずっと腰の据わった演奏ですね。どちらも亭主の好みからは離れているものの、安価な旧盤は一聴の価値ありです。ちなみに旧録音での使用楽器は、Pietro Guarneri.1733、新録音での使用楽器は、Stradivarius.1732。旧録音の伴奏イル・クァルテットーネは、1987年、カルロ・デ・マルティーニによって創設されたイタリアの団体です。
アニマ・エテルナ首席、ザイラー盤は期待していたのですが、既発売、インマゼールとのヴァイオリン・ソナタ集(ZZT021001)ともどもいまひとつでした。
奇しくも同じ2005年に録音された3種の盤は、三様の演奏でいずれも掬すべきもの。一聴して瞠目、…ならぬ瞠耳せしむる奇演はビオンディ盤。通奏低音にフォルテ・ピアノはともかく、ギターが入っていて、異様な音響を醸していますが、だんだんに飽きてくる演奏ですね。むしろ、カップリングの第1番の方がビオンディのスタイルに合っているでしょう。彼のハッタリがよい効果を上げています。いずれにしても、シギスヴァルト・クイケンが聴いたら嘆息しきりといったところ(「寺神戸亮とモーツァルト(3)」に引用のクイケンの言葉参照)。
それにひき替え、マンゼ盤は聴くほどに佳いですねえ。既発売のヴァイオリン・ソナタ集(HMU807380)以上の出来でしょう。曲想のもつ開放的性格とモーツァルト作品のもつ求心的性格とが絶妙に両立していて、まったくお見事。《トルコ風》も名演で、ぜひ協奏交響曲を含めた全集化を強く、強く望みたいです。
同じく、レールタウアー盤もなかなかの演奏。マンゼ盤よりもずっと渋いながら、ゆったりと声高に叫ばない音色にほどよい味わいがあります。ヨハネス・レールタウアーは1959年オランダ生まれ。もとは、かのヨセフ・スークに師事したようですが、バロック・ヴァイオリンに主活動を移し、アムステルダム・バロック・オーケストラ、アニマ・アテルナ、オランダ・バッハ協会管弦楽団の首席クラスを歴任、90年には当盤で伴奏を務めるラ・ボレア・アムステルダムを結成しています。なおコンサート・ミストレスは山縣さゆり。
以上、慌ただしく紹介いたしました。もちろんモダン楽器によるすばらしい演奏も多数あります。しかし、技術や音量、大仰な旋律に寄りかからないモーツァルトのヴァイオリン協奏曲にあっては、クラヴィーア協奏曲以上にピリオド楽器による演奏こそがより好ましいように思われます。
最後に優れたモーツァルト研究者、森泰彦氏のジャンル解説を引用しましょう(クイケン・寺神戸「ヴァイオリン協奏曲第5・4番」[DENON:COCO80380]の「作品解説」)。
モーツァルトは、後に他のジャンルでもそうしたように、この3曲[第3〜5番]をもってヴァイオリン協奏曲という分野から決定的に遠ざかった。あたかもこの曲種でやることはすべてやってしまったとでもいうように。実際、モーツァルト父子の考え方と反対に、ヴァイオリン協奏曲というジャンルは、楽器や弓の変化と歩調を合わせて、カンタービレや音楽性ではなく、名技のための名技を追求する方向をますます強めていったのだ。テーマ:クラシック - ジャンル:音楽
- 2008/07/16(水) 21:51:13|
- 協奏曲
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